アカデミック・ハラスメントとその周辺

アカハラに遭わないために/遭ってしまったら学生はどうするべきか、アカハラと言われないために教員はどうするべきか、アカハラに対して大学はどうするべきかなど。  

国内の事例

アカハラで鳥取大教授停職 企業への推薦書拒否 - 産経WEST

 

「大学をやめろ」…学生に暴言、名古屋大のアカハラ准教授を減給 - 産経WEST

(以下は2017/11/16時点で記事みられず)

https://twitter.com/giugno_june/status/848095344235651072

https://twitter.com/giugno_june/status/848095569474080768

https://twitter.com/giugno_june/status/849978194505515009

逆アカハラについて

https://twitter.com/Reseaercherwat1/status/902687684971266049

アカハラの件、確かにアピールの必要はあるんだろうけど、自分は絶対正義という感じがしてしまうのがちょっと。アカハラって受け手側がどうとらえるかによるしその程度も決まってるわけではないので、誰でも加害者側になりうると思う。自分は本当に怖いと思っている。

 

https://twitter.com/tunatuna_01/status/902942914686410752

逆ハラも深刻、と言う話を見かけたけど、正直教授からの指導放棄の方がはるかに深刻だと思うよ…。そして、教授からの指導放棄や学位審査受験の妨害から学生を守るシステムが全く整ってない。

https://twitter.com/molbiolx/status/903035178490068992

どちらの方が、という話ではないと思う。教員も多くのものを壊されるのだ。アカハラした者を守るところはあっても、逆アカハラされた者を守るシステムも守ってくれる人はいない。そして逆アカハラを受ける人はアカハラをしない人が多い気がする。学生に弱いと思われてるのか知らんが

https://twitter.com/molbiolx/status/902844779540619264

アカハラは受けてみないとどれほど大変かわからない。一度受けると、いろいろ考え方が変わる。

 

https://twitter.com/Ryosuke_Nishida/status/925907603795742720

研究室運営するのって本当に大変。予算管理しかり、院生のマネジメントしかり、自分の仕事と業績中心だったときとはかなり業務に対する考え方が変わったというほかない。さすがに今回のヒヤリハット案件はこの数日胃に穴があくかと思ったが、無事、概ね無問題に解決されてよかった・・・

 

https://twitter.com/m_morise/status/925386221341229057

学生に原稿や実験の催促でプレッシャーをかけるとハラスメントになりかねないということで,最近は完全にギャグタッチでやるようにしている.具体的には「今,君の心の声が聞こえて3日後くらいに完成するって言ってるけど本当?」とか.

 

 

状況は分からないがyahoo知恵袋の質問の回答者が、過去にアカハラで訴えられたと記述している。

大学でアカデミックハラスメントにあいました。 事務方、学生部と相談... - Yahoo!知恵袋

 

ハラスメントが発覚,処分されない理由

 

コンプライアンスの問題

配属や小講座制の仕組みの問題

  • 学部生が研究室に配属されるに当たって、その専攻内で研究室ごとにある程度の人数が配属される必要がある。そのため如何に評判が悪くてもその研究室には学生が継続して入ってくるためアカハラが継続される。

F太 (@fta7) | Twitter

https://twitter.com/fta7/status/852718078274260992

事務等責任系統の仕組みの問題

https://twitter.com/toruoga0916/status/906778283009867776

そもそもは専門性の問題。法的な意味でも、教育・労働問題という意味でも、人間関係のコミュニケーションという意味でも専門的知見を持っているわけではない教員が部局のローテーションで「ハラスメント委員」とかやってるのがおかしい。素人が判断してるのと同じだから。そりゃあ揉み消し委員会になる

https://twitter.com/giugno_june/status/906797876583424000

ほんとにその通りで、回り持ちで大学教員がハラスメント委員をやってるので、専門知識もない、ノウハウも蓄積されづらい、客観性あるのかも分からない、そもそもハラスメントやるような人間が委員会に居れば漏洩など二次被害もでる。 このシステムに改善を求めても教員の利益には繋がらないし。

https://twitter.com/giugno_june/status/906767379652263937

不祥事が出たら大学執行部から責任問われて怒られるなら、そりゃ学科や教員側も隠した方が簡単だしお得。 アカハラを認めて処分することが評価に繋がるとか、少なくともマイナスの評価に繋がらなければ良いんだろうけど、不利益になるものを自分から認めるほど高潔な人は居ない。

 

その他

https://twitter.com/giugno_june/status/848386059008229377

過払い金請求とかブラック企業みたいに、解決で金が出てくるわけでもないから、弁護士でもこんな案件に積極的に関わりたいと思う人は少ない印象はある。 内部での解決ではどこも甘い感じもする。

https://twitter.com/giugno_june/status/848390085426896896

何より所属組織や分野全体が腐っていることも考えられる。 周りの教授陣で庇い合われちゃあたまんないよね。 この前のメールも、他の大学院にいくと学生が伝えてから、行き先の院のPIにその学生を落とせっていう内容のメール送ってるからねうちのボスは。

https://twitter.com/giugno_june/status/848389194128826368

就職,進学,学位取得に差し障りがあるという点でも、名前を出すことで報復を気にするという点でも匿名であることは必要なはず。

https://twitter.com/giugno_june/status/848441729741078528

RTまじこれ 申し立てする側にメリットが全く無い。 時間とリソースを奪われるだけ。 大学側は補償もしねぇだろうしな。 保身に走るそぶりを見せたら外部に漏らそうかほんまに。

https://twitter.com/giugno_june/status/849335066928926720

今年院進を蹴った後輩や僕などは厳しくてブラックと言う情報を聞いたうえで、教授の話を聞いて研究室を選び、それでもリタイアしました。 リタイアせずに残る人も居ますが、自分の事を考えると噂があっても承知で入る人はいるだろうし、その分耐えようとするのでダメージが大きくなるとも思います。

https://twitter.com/giugno_june/status/849335893487792128

アカハラを訴えることに対して不毛だって言うのは、どう考えても何もせずに他の研究室に逃げた方が個人にとって得だから。 ただ、それだと絶対にアカハラは後輩に引き継がれるし、悪い噂が広がろうが、その研究室に入らざるを得ない人は 僕の分野では一定数必要なんです。

https://twitter.com/giugno_june/status/849550939690340353

なによりも訴えることでそれに吸いとられる生活リソースは大きなものになるので、解決するかどうかにか変わらずインセンティブは非常に小さい。 むしろ告発して名前が知られる上に、相手からの報復のリスクを考慮すると大きくマイナス。

https://twitter.com/giugno_june/status/850185970217500672

まさにこれですね。 正直苦労して大学の教職まで来れるような人に訓戒などで人格を直してもらえると思っているなら、頭がお花畑。 長年に渡ってアカデミアの世界で生き残りながら凝り固まってきた性格です。実績も地位も手に入れているのでこのやり方で正解だとおもっているでしょう。

https://twitter.com/giugno_june/status/850586932111220737

アカハラの問題点は、大学側が研究業績と同じくらい教育を重視していなければならないのに、後者を蔑ろにしているところ。本来大学側は学生がブラックに使い捨てられていないかをラボ外から自発的に監視,公開する必要があった。大学ランキングなどにうつつをぬかしているばあいではなかった。

https://twitter.com/giugno_june/status/850587899615559681

で、現状省みてみるとどう考えても日本の大学の研究における競争力は尽きつつある。社会の目がそちらにいっていて、教員側も事務作業に疲弊している状況で、こういった教育側の問題が大きく取り上げられるはずもない。 正直大学にアカハラを自分から認識する力も解決する体力もあるように思えない。

https://twitter.com/giugno_june/status/850585803604361216

教員の採用基準で人格が重視されてない以上、破滅的な人が狭い研究室の中で権力を持つことを防げないんですよ。院内部でもそんな人間をバッサリ排除できる自浄作用を持っていない。 だから、独立した委員会などで外部から監視して、学生の休学等が何度も重なったら無条件でアウトにする仕組みが必要。

https://twitter.com/giugno_june/status/852422526000955392

お世話になってるカウンセラーの先生に、 "以前はアカハラじゃないかってそれとなく聞いても、いや自分が悪いんだって言ってた"(意訳) という事を言われた

 

被害者側の問題

通報窓口を誤解しているせいで、正しい部署にハラスメントが伝わらない。(ハラスメント相談室ではなく、カウンセリングセンターで相談するなど)

例えばカウンセリングセンターは守秘義務を守らざるを得ず、相談室に察知されない場合がある。加えて相談したという事実を被害感情からクローズアップしてしまい大学に認知されなかった事と考えてしまう。

 

下のyahoo知恵袋の相談がこの場合の端的な問題を示している。

大学でアカデミックハラスメントにあいました。 事務方、学生部と相談... - Yahoo!知恵袋

このYahoo知恵袋の例では、教授会でハラスメントの判断をすると受け止めているようだが、実際は殆どの大学でハラスメントの判断は、別の部署の教員複数による独立した委員会が行う。

自分の大学では教授には弁論の場が与えられるが、これも委員会の聴取の際で教授会ではない。一方、懲戒としてどの処分が妥当かを考えるのは教授会であるため、こういった誤解が生じると考えられる。

また、事務と教授は、アカハラをした教授とは同僚であり、仲間意識があると思います。という主張には首を振る教員がほとんどだろう。

 

・ハラスメント相談室の役割が学生に周知されていない

・学生のリサーチ不足

・調査、処分の判断等のプロセスを担う部署がバラバラである

が考えられる。

特に最後のものは、

同じ大学の複数の研究科で起きた同じ内容のハラスメントに一貫しない処分が下される

結論が出るまでに年単位以上の時間がかかるため、迅速な対応,救済が行われにくい

という問題の根になっているように思える。

大学からの懲戒処分に対しての対抗

アカハラで鳥取大教授停職 企業への推薦書拒否 - 産経WEST

パワハラ懲戒の元教授 群大の不当解雇認める 地裁判決 - 産経ニュース

地裁の解雇無効仮処分を広島高裁が取消し 研究不正の告発をした教授を岡山大学学長が解雇した事件 | 日本の科学と技術

国立大にパワハラを捏造され、解雇通告を受けた教授の告白(田中 圭太郎) | 現代ビジネス | 講談社(1/6)

 

下の2つは大学の処分が不当とする動きが主流。

特にパワハラ捏造に関しては

教員が捏造したアカハラの実例 - アカデミック・ハラスメントを巡って

に挙げた。

 

群大の件補足

 

群馬大学の江本正志教授が懲戒解雇処分に ネット上ではどよめき起こる - ライブドアニュース

 

書きたいこと

トピックとして書きたいことのメモ

分類

対処法(穏便な解決)

対抗法(やり返し方)

なぜ表面化,迅速な処分がされないか(制度、アカハラの性質、コンプライアンス)

教員間のアカハラ

 

ハラスメントをさせない為の組織の仕組み

ハラスメントがない大学,学部の選び方

ハラスメントがない研究室の選び方

ハラスメントからどうだっしゅつするか

 

進路を変える際にしたこと

研究室であったこと

ハラスメントを訴えるまでの流れ

 

アカハラを訴えられたらするべきこと

教員が学生に訴えられないためには

アカハラを発覚させないためには

ハラスメントを表面化させない為の組織の仕組み

 

 

 

質問に対する回答

Askの質問

  • “近年、教員のアカハラ発覚による停職等の事例が多く報じられていますが、本来優秀であるはずの教員がそのようなリスクを冒してまでアカハラをしてしまうのはなぜだと思いますか?”

 

まず、教員は本来優秀ではないですし、アカハラをしない高い倫理意識を持ち合わせているわけではないと思っています。
これは他の職種についても同様で、政治家だからと言って優秀とは言えませんし倫理意識が高いからといって警官であるわけではありません。
大学教員間にも実務教育研究等のそれぞれで有能無能な人間は居ます。
大学教員であることと優秀であること、優秀であることとハラスメントをしないことはそれぞれ全く別です。


さて、質問の回答ですが、アカハラ自体はリスクを冒すことではありません。
これは隠蔽されたり発覚しても処分が甘い為、アカハラをすることにリスクがあるという意味ではありません。
(もちろん本当はそれも有りますがこの場合は特に別の意味でリスクがないという意味です。)
教員が自分の言動を問題だと意識をして(リスクを冒している認識で)アカハラを始める事は少ないだろうと僕は思っており、この点で教員にとってアカハラ的行為はリスクでは無いのです。
例えば学生の卒業を盾にもっと研究しろと迫るような場合は教員が学生の出来に満足しておらず発破をかけるつもりで発言していることが考えられます。
むしろ教員本人は厳しいだけで大学教育として当然だという意識ではじまるでしょう。


指導放棄や論文不正、セクハラ等他の形も色々考えられますが、どれも軽微なものから始まってエスカレートしていくのが普通の流れです。
学生はその間卒業進学等で代謝されていくので、新しく配属された途端に信じ難いレベルのものに触れてありえないと思うかもしれませんが、如何に信じがたくても通時的にみればそのレベルに至るまでの連続した経過はある意味自然なものです。
当然のものでは無いですが。


また、何よりアカハラをする本人の脳内でも、
厳しくしないと今の学生は、とかこれくらいなら普通、
といった理屈が通っていて、リスクという認識はほぼ無いでしょう。
リスクの認識を持てるかは本人の常識によるので、他の人と比べてブレーキを掛けるところが大きくずれており、
あり得ない行動を正当化する能力に長けていればアカハラをする理由に何の疑問もありません。


これらの能力を本来の"優秀さ"によるものと見るかは微妙ですが、教員は必ずしも優秀ではなく、また教員はリスクを冒している認識がない(弱い)と考えると、アカハラをしてしまう理由に納得し易いです。

 

 

  • ”貴方ほどじゃありませんが、そこそこひどいアカハラを受けてます。アカハラによって失ったものはたくさんあります。ただ、自殺が頭によぎるほど追い詰められて、世の中にこんな苦しみがあることを身をもって知って、少しだけ人に優しくできるようになった気がします。自分の苦しみにだけ敏感になるんじゃなくて、苦しんでる人には声をかけてあげたいと思えるようになりました。あなたはどうですか。アカハラで何が変わりましたか。”

アカハラで何が変わったかと言うと、良いことはほとんど無いですね。
行動力、時間、金、心身の健康、知人、学んだこと等失ったものは幾つも思い付きますし、またそれを埋め合わせできるほどのものを持てるかどうかは分かりません。


多分質問者さんのように思えることは強い証だと思います。
まだ経験を消化出来ていないためはっきりとは言えないですが自分の場合はより疑り深くなり、自分第一に考えたいとおも っているので、またこれも一つの変化では有ります。
少なくとも変化を自分で前向きに捉えられることは良いことです。


ただ、アカハラにあって良かった事が少しはあっても、あわない方が良かった事の方が多い事は間違いないです。アカハラにあったこと自体を前向きに捉えてしまうとアカハラを肯定することになるのでそれはしません。
アカハラという困難を乗り越えることで人間が成長できるならどんどんするべきでしょうが、実際はそうではないです。

中々持ち得ない酷い経験ですが、そこから学ぶものがゼロでは無いことは一つの救いです。

 

ブログでの補足:

質問者さんを傷つけそうなので書かなかったが、アカハラで他人に優しくなれた気がするという意見には100%首肯しかねる。

そんなものを経験せずとも優しくなれるのが理想であること、何よりアカハラで得たものを強調しすぎると、アカハラに合わなかった人には分からないみたいな妙な選民思想を持ったり、視野を広げる為にもアカハラにあったほうがいいという変な理屈を無意識に肯定することにつながると思うから。

確かにアカハラを経験したことで想像力も増したし、他の人が持ち得ない視野を獲得することが出来た。しかし、それは本来得られたはずの経験や視野には釣り合わないし、またなにより不要な視野だ。

アカハラにあったという経験から得たもの確かにあるしそれは独特なものだが、自分を避難しないこと,肯定することに集中するあまりに、それを肯定することは出来ない。

 

  • ついに私もアカハラのせいで精神科デビューすることになりました。精神科、心療内科に通うにあたって気を付けてることはありますか? ああもうつらい、つらいよう。アカハラできついときはどうやってきをまぎらわしますか?

通うときに気を付けていることは特にありません。お薬手帳を忘れないくらいでしょうか。
理想は学内の相談センター等でアドバイスをもらうことですが、ハラッサー側に情報が漏れるリスクも有ります。
自分を責めないこと、外に世界が有ることを知ることができればいいです。研究室と全く別の趣味を持てれば良いですが、それすら圧迫される/出来ない場合はかなり危ないです。
脱出できるならしましょう。
研究室に行かなくてもいい位に考えられると楽かもしれません。
つらいときは一度寝て目覚めると少しは緩和されます。
あと他の友達に話すとかなり救われました。
"いやな気分よ、さようなら"という書籍がお薦めです。
分厚いので手が出しづらいかも知れませんが、"虚無主義"という章を読むだけでもかなり有用です。