アカデミック・ハラスメントとその周辺

アカハラに遭わないために/遭ってしまったら学生はどうするべきか、アカハラと言われないために教員はどうするべきか、アカハラに対して大学はどうするべきかなど。  

総務省審査請求について

水無月が申し立て、九州大学が認定した、ハラスメントに関して調査資料の開示を行いました(令和元年11月13日)。調査資料のうち、1. 何を対象として調査したか/しなかったか、2. ハラスメントと判定した判断基準は何か、3. 調査しなかった理由はなにか (特に他大学院進学を妨害した件が調査されなかった理由) を知りたかったのですが、黒塗りが多い開示文書の中でも、結論部では調査する対象をごく一部に絞っていることが察されました。

同時に、開示範囲が十分ではないと感じたので、総務省経由で開示を求めました(下記リンクの「令和2年度
(独個)013」に該当)。

(総務省|情報公開・個人情報保護審査会|個人情報保護(独立行政法人等)令和2年度答申 001〜)

 

結果的に黒塗りの状態はほぼ変わらない書類がごそっと手元に届いただけだったのですが、上記のリンク等で他に同様の開示請求を行っている大学でのハラスメントの例が複数あり、参考になると考えるので、上記リンクの「令和2年度(独個)013」の際に総務省に提出した意見書を名前以外そのままで下記に転載します。

以下転載

 

 

令和二年二月二十三日

 

 

 

 

                       審査請求人  水無瀬 いつき 印

 

 

意見書

 

 次のとおり意見書を提出します。

 

 審査請求人は九州大学に対し、保有個人情報の開示及びそれに対する部分不開示を不服とする審査請求を行う。この主な理由は、審査請求人が提出したハラスメントの苦情申立に対し、ハラスメント調査委員会が行った苦情申立の個別事項に対する調査の有無及びその判断基準を明確にするためである。審査請求人は、保有個人情報の開示範囲の拡大を求めるが、「独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律」(以下法)第14条第2号に該当する調査結果の詳細や関係者を特定可能な情報の開示等を求めるものではない。

 

 審査請求人は、九州大学に対して、審査請求人を含む延べ10人以上に対するハラスメントも含めた50以上の事例をメール等の証拠をもって提出し、これら審査請求人以外を含む個別事項に対する調査及び判断を求めた(ハラスメント申立書:要望事項参照)。しかし、九州大学が組織したハラスメント対策委員会が提出した処分では、審査請求人個人に対するハラスメントのみを認定しており、またその範囲も苦情申立書に記載された内容の部分的な認定に限られたものであった。この、審査請求人のみの申立内容の一部しか認定されなかった点に疑問をもち、審査請求人は法に基づき九州大学に対して保有個人情報の開示請求を行った。これにより開示された資料では、審査請求人に関する少数のハラスメント事項について内容と調査結果を部分開示しハラスメント認定の可否について述べたものでしかなく、審査請求人が大学に対して要望した審査請求人以外に対するハラスメントや審査請求人が受けたと主張する他のハラスメントについての調査の有無及びその結果は含まれていなかった。また、審査請求人がハラスメントに関する聴取を受けた際、聴取された内容は申し立てた内容のごく一部のみであり、加えて、不開示部分からは、審査請求人が苦情申立を行った事項の多くがそもそも調査されていないことが推察された。以上の理由から、審査請求人はハラスメント対策委員会が恣意的に調査を行うかどうかの判断を行っており、適切なハラスメント調査がなされていないのではないかという疑念を持った。その為、審査請求人は、苦情申し立ての個別事項に対して調査の有無及びその判断基準を明らかにしたいと考え、その手段として開示内容に対して審査請求を行う。

審査請求人が申し立てた内容のうち、特に審査請求人以外に対するハラスメントでは、他大学への進学の妨害や空き巣による金銭被害の補填を学生に迫るなどの悪質なものが多く、加えてメール等の証拠も揃えて九州大学に提出している。しかし、これらの内容はハラスメントとして認定されず、その判断基準のみならず調査の有無すらも保有個人情報の開示からは明らかにならず、審査請求人のハラスメントの調査が恣意的に行われているのではないかという疑念を持つに至った。また、審査請求人は九州大学が不開示と判断した理由のうち、特に法第14条第5号柱書きに基づく「ハラスメント調査部会の審査手順,手法等」を開示することは、九州大学のハラスメントに対する調査の透明性が明らかになるという点でむしろ開示されるべきものであると考える。不開示理由として九州大学の主張する、「今後、苦情申立人または被申立人が自己に有利な評価を受けるよう,又は事故に不利な評価を受けないよう対策を講じる等,ハラスメントの被害救済に関する調査・審議その他の事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある。」という内容は、法第14条第5号柱書き等に該当する論理的根拠が見当たらず、不開示決定の維持は九州大学におけるハラスメント調査の不透明性を助長するものであると考える。

 

 

以上。